映画『鉄塔 武蔵野線』

2017.10.29

 

 

20年近く前だろうか、
嫁さんが、たまたまテレビをつけたらやっていた。
子どもが主人公の映画。

少ないセリフと、ゆっくりしたテンポで流れる映像と物語。

夏休み。
河原の公園。
鉄塔。
雑木林。
田んぼ。

 

 

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懐かしくて切ないような子どもの頃の感覚が蘇る。
子どもの流れる時間は長い。
ゆっくりとモタモタと流れる夏休みの時間までも表現しているようだ。

少年時代、
何か解らないものに突き動かされて
無性に一人で何かをやり遂げようとした記憶。

やったことは、たわいもないこと。

小川をせき止めてみたり
クワガタを採りに行ったり
木彫りの戦艦大和を掘ったり
淀川の葦原を突っ切り岸辺にたどり着く冒険をしたり。

なのに、
どうしても一人でやり遂げなくてはならなかったのだ。
ドロドロになりながら、必死で祈り続ける求道者のように。

誰が聞いても、どうでもいいような目標だけど
当時の本人には切実な問題だった。

テレビで観た次の日、
尊敬するイラストレーターの竹嶋浩二さん会うと
竹嶋さんからこの映画の話をされてきて
やっぱり、この人とは感覚が似てるんだよなぁと思い
嬉しかったのを覚えている。

 

 

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しばらくしてビデオが出てるのを見つけて買う。
そして今年、待望のDVDが出た。
おまけとして実際の武蔵野線のルートが付いていて嬉しい。
実は、実際に見に行くとこまではしなかったが
GoogleMapでかなりのところまで鉄塔ルートを見るぐらいはしてしまった。
最初の公園と鉄塔をGoogleMap上で見つけた時は、なんとも嬉しかった。

 

 

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さて、この「一人でやり遂げる」ということは
僕の中でとても大きいテーマ。
ちばあきお氏の短編「いってききま〜す」の船を作る少年や
永島慎二氏の「夏休み」の死体を運ぶ少年。
こういった作品にすごく共感してしまう。

そして、
僕の絵本「なつのいちにち」も、
こういった作品らに先導されてできたものと言えるのだ。








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