遠野物語「でんでらの」

2018.6.29



以前は、
まさか、自分が京極夏彦さんと絵本を作るとは
考えもしなかった。

しかし、今はこのタイミングで、
この仕事をすることは
ごく自然な感じがするのである。

 

 

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実は数年前から、
絵を描き終えて、描いた絵を見返してると
なんか、自分一人で描いた気がしないようになって来た。
描いてる時は、夢中なので感じないのだが
あとで、
これは誰かと一緒に相談しながら描いたような
後ろの誰かにアドバイスされながら描いたような
そんな感覚を持つようになった。

 

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すると、そのうち
少し具体的な感じになって来て
描いているときにも、誰かに誘導してもらっているようになり
さらには、こっちからも相談に乗ってもらう感じになり
絵を描きながら
「頼みますよー」なんて祈りつつ
あてにするようになって来た。

 

 

 

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最近では、
目に見えない絵描きたちが、
何人もやって来てる感じがして
いろんなタイプの絵描きが入れ替わり来てるんだなーとさえ、
わかるようになって来た。

仕事では、もうすっかり、あてにしている状態である。

まあ、勝手な想像かもしれないのだけど。

 

 

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さてその後、ある同業者にその話をすると
「そんなの当たり前、絵を描く時はいつもそう。
私は”イタコ描き”って呼んでる」
そう言われて、
ああ、やっぱこういう人多いんだなとホッとした。

それにしても『イタコ描き!』とは上手いこと言うものだ。

嫁さんに言うとやはり、
「そうそう、そんな感じ
でも上手い言い方やね」
と笑っていた。

そしてそんなタイミングに
「じゃ、そろそろ、やってみるか?」と言われるように
この遠野物語の話がやって来たのである。



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